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第3回 メイキングりん鐘

第3回 メイキングりん鐘

りん鐘は、高岡銅器の職人の技が集結してつくられています。 第3回は、その製作工程を追います。

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高岡の技が光るおりんを設置したい。

雨晴海岸に道の駅ができると聞きました。この高岡を代表する景勝地に、ぜひ高岡の伝統産業である「高岡銅器」のおりんを設置して、高岡を訪れる人たちに、おりんの音色のすばらしさはもちろんのこと、高岡の技のすばらしさも伝えたいと考えました。高岡に400年以上続く伝統工芸高岡銅器。鋳造・着色・彫金と、その高岡の技が伝わるデザインにしました。

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【鋳造】今までに経験のない屋外用の大きなおりんを鋳造

海岸・屋外・雨ざらし・・・・潮風に耐えうるおりんの鐘をつくたい!
お寺の本堂などで使う、口径30cmの大徳寺りんは鋳造品です。屋外で用いる梵鐘や半鐘は、お寺の鐘楼堂に吊るされているような巨大なものもあります。これらの鋳造経験を活かせば、前例のない屋外用のおりんも作れるであろうと考えました。
はじめは音になりませんでしたが、様々な職人技を駆使し、口径30cmもある、心に染み入る音色のおりんを鋳造することに成功しました。

【彫金】彫りで表情をつくる。

職人が鏨(たがね)を使って、手作業で彫ります。
思い通りに鏨を操ることができるようになるには、相当の修業を積まなくてはいけません。
また、紙に描いたデザイナーのイメージも、金属の上で表現すると、表情が変わります。デザイナーのイメージを再現するために、彫りの深さを調節したり、設計図よりも、彫の幅を変えて彫ってみたり、職人の経験と勘がものをいうのです。

【着色】着色は一日にしてならず。

雨晴海岸の海や空を表現するために、おりんの表面処理は、伝統的な青銅色を施しました。雨晴海岸に設置されるということは、潮風に常にさらされるということ。銅器にとって、とても過酷な環境です。緑青の被膜がそういった過酷な環境から銅器を守ることも、この色を選んだ理由の一つです。
代々職人に伝わる様々な成分の液体を銅器表面に塗布し、加熱し、天日にさらし、緑青を吹かせます。これを拭き上げ、液体を再び塗布して、再度緑青を吹かせ、拭き上げる。この作業を何度も繰り返し、緑青の被膜が堅牢で強固なものとして定着し、青銅色として仕上がります。

【箔押し】彫金が映えるように箔押し

着色後、彫金を施したところに、繊細な手技で、金箔を貼ります。
潮風を受ける過酷な環境も考慮し、幾重にも金箔を貼ります。
青銅色になり、すっかり同化してしまっていた彫金が、金箔を押すことで、華やかに浮かび上がります。

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【調査】山口久乗は音にこだわります。

人々の心に響く音色の「りん鐘」を仕上げる最後の仕上げです。おりんの音を聴く環境でも、音色は変わります。海の近くの環境では、おりんの音色はどのように聞こえるのか、いつものように日本音響研究所で調査していただきました。
今回は特別に、研究室内だけでなく、実際の環境に合わせて研究所近くの湘南海岸でも実験をしました。近くで聴いてもとても優しく響き、遠く離れても穏やかに聴こえました。そして海岸の50m先でも1/fのゆらぎの音は確認されました。
道の駅から離れて、義経岩や海岸でも、りん鐘の音色は楽しんでいただけることでしょう。

こうして高岡の技術を結集してつくられた、大きなおりん。
このりん鐘をぜひ、ご自分で鳴らしてください。その響きは音のかけ橋となって、あなたの想いを届けてくれます。

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