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第2回 太陽と月と雨晴と

第2回 太陽と月と雨晴と

第2回は、りん鐘のデザインを手掛けた磯野 梨影 氏から、お話しを伺いました。

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まず、山口久乗さんのデザインを手掛けるようになったいきさつを教えてください。

音にこだわったものづくりをしている会社がデザイナーを探していると、ある方からご紹介があったのがきっかけです。最初に山口社長ご夫妻と私の事務所でお会いしたところ、高岡から様々なおりんを持参され、その音を鳴らしながら「この音を多くの人に聴いていただきたい」と切々と説かれました。それ以来「音を伝える」という抽象的なテーマにかたちを与えるべく、久乗おりんのデザインの仕事に取り組んでいます。

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山口久乗さんで手掛けた一番のお気に入りデザインって何ですか?

最初に手がけた「優凜シリーズ」でしょうか。いままでの仏具のイメージから脱却し、やさしく涼やかな音を純粋に感じていただけたらと思いながら開発したシリーズです。特に「ことりん」は、オリジナルのおりんと小鳥型のフレームの形が響き合っているように思え、自分でも気に入っています。

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今回のりん鐘の話を聞いて、最初はどう思われましたか?

富山湾越しに立山を望む絶景に久乗おりんの美しい音を添えることが出来ればすばらしいと思いました。しかし、日頃小さなモノばかりデザインしている自分が、その後それをデザインすることになるとは思ってはいませんでしたが。。。

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りん鐘デザインのポイントは何でしょうか。

まず、いわゆるお寺の境内などにある梵鐘や西洋の教会にあるベルの形ではなく、高岡の文化を伝えられるものとして、おりんと同じ形状の鐘を作りたいと思いました。おりんの円やかな形をモニュメントとして使うことで、見る人、鳴らす人、その音を聞く人に、周りの風景を見ながら心穏やかな時間を持っていただければと考えたからです。

また、富山湾越しに立山を望む唯一無二である雨晴海岸の景観との調和や関係性も取り込みたいと思い、ノイズにならないシンプルなデザインを心がけつつも、この地にまつわる逸話や物語性を意識し、りん鐘に天体をモチーフにした彫刻を施しました。

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設置台デザインのポイントは何でしょうか。

まず、眺望を妨げないコンパクトですっきりしたものであること。かつ、潮風が直接吹き付ける海岸線間近という厳しい設置環境に耐えられるよう、安定して堅牢なステンレス製3本支柱の構造をベースにデザインしました。詳細の設計は、経験豊富な株式会社鎚絵さんに相談し、無事実現することができました。

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このりん鐘は、どうなってほしいですか。

このりん鐘の音が、雨晴海岸を訪れた人の想い出の音になればいいなと願っています。

ベルではなく、おりん。この雄大な雨晴の景色に溶け込むようなデザイン。
いつもここで鳴っている安心感を届けてくれそうですね。

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